【ニュージーランド→日本縦断】オンラインホームスクール 体験記3

ホームスクール

オンライン学習の苦難

日本縦断をしながらホームスクールを敢行した私たち。

初めは、長女が「ホームスクールをしたい!」と言い出したことがきっかけでしたが、

まさか、その言葉から、1年の日本滞在が実現するとは、世の中何が起こるか分かりません。

しかし、親にとっては、いや娘にとっても「高校退学」という大きな決断だったにも関わらず、

長女は全く、学習意欲がありませんでした。

母ちゃんが高校生の時は、受験する高校を自分で調べたり、自分で手続きしたり、
親にはお金を払ってもらうだけ…だったけど、娘は危機感がなさ過ぎだわ!

※ニュージーランドには高校受験はありません

旅行なんだから楽しもうぜぃ!

父親も、「旅行なんだから」とおかまいなしです。

学校のルールもコロコロ変わるし、次女の学習の面倒も見てあげないといけません。

私自身もオンラインの仕事をしながらだったので(&宿の予約)手一杯でした。

まったく意欲的ではない長女とは、たびたび衝突することもありました。

ところが、担任の先生には、「長女はよくやっている」と評価を頂いていました。(全て母の努力です)

次女は、オンラインスクールを受講するにあたり、自分のPCを持つ様になりましたが、

勉強よりもだんだんとゲーム漬けになっていきました。

次女に勉強をさせる事は、悩みの種でした。

この状況は、全て私たちの決断であり、彼女の意思ではありません。

先生も友人も一緒に居ない状況で、PCを渡されたら、ゲームがしたくなるのは当然のこと。

PCが学校代わりですから「PCを取り上げるよ!」とは言えない状況。

私も仕事があり、PCに向かっていました。動画編集の仕事を請け負うと1つの案件に10時間ほど費やすことになります。

母親が部屋に篭って長時間PC作業、父親もスマホでYouTube。姉もスマホ漬けでは、次女だけPCから「離れなさい」と言われても、理不尽な話です。

小学生と高校生の姉妹は、残念ながら話し相手になりません…

「だったら、父親が面倒見たら?」ですよね。私もそう思いますが、

「ママじゃないと嫌」と聞かない娘…父親が無理に連れて出かけても、2人とも険悪なムードで家に帰ってくる…っていう状況でした。

ダメだこりゃ

長女は、自分のスマホでニュージーランドに居る時と変わらずに、海外でも友人とチャットができますが、9歳はそういうわけにはいきません。

日本の学校にも通わず、住む場所もゲストハウスを転々としていては、同年代の子と交わることもできません。

オンラインゲームとはいえ、世界中の子供達とお話しができるのが、彼女の楽しみでもありました。

この状況が、後々この娘の人生にどう響くのか…?

私たちの子供の頃には体験することがなかった選択が、「正解だったのか?」と、不安になることもありました。

ハリーポッタールーム

カプセルホテルの様な個室のゲストハウスにて

最大の難関NCEA

さて、NCEA試験のその後。

ニュージーランド大使館に試験監督を断られ、詰んだと思われた試験でしたが、

なんと、適任が見つかりました!

私たちのニュージーランドでの友人(日本人夫婦)が、日本帰国されていて、海外で通用する会計士の資格保持者だったのです!

これで学校に納得していただきました。

行動すると、こういう人の巡り合わせっていうのがあるんですよ!

しかし、更なる試練がありました。

試験会場探しです。友人に越境して自宅まで足を運んでいただくわけには行かないので、

ホテルを予約しました。

試験は、1教科3時間。娘は2教科を受けるため6時間を見ないといけません。

試験官を6時間も拘束ですよ?

日本語、英語に長けていて、6時間も無償で付き合ってくれる人なんて簡単に見つけれると思いますか??

「海外でもNCEAも受けられて、政府認可のオンラインスクール」というアイディアは良かったけれど、
それを遂行するには、極めて難しいルールでした。

ところが、試験の前日。

試験官が手にするはずの試験用紙が、私の元に送られてきました。

家族以外の…という話だったはずなのに。

「あれ?これ、自分たちで自宅でできちゃうじゃん?」

っというオチでした。

1教科3時間、2教科分の試験のコピー。 セブンイレブンでプリントアウト。

決断を振り返って思うこと

今は、ニュージーランドに戻り、それぞれの学校に戻った娘たち。

その後…

たった1年間、学校に行かなかったことで、ネガティブな要素は全くありませんでした。

学校に戻って、先生や友人に迎え入れられ、スムーズに復帰することができました。

学習の遅れはありますが、それが将来に影響するかといえば、そうでもない気がします。

それよりも、みんなができない特別な経験ができたことに価値があると思っています。

電話一本で決まった高校の退学手続きも、嫌味もなくさらっと戻してくれました。

当たり前じゃん。義務教育なんだから〜

と夫くん。

 

さすが気を使わないニュージーランド人です。

今までは、「学校つまらない、行きたくない」なんて言っていた娘達でしたが、

1年間の自主学習で「自分だけでは勉強は難しすぎる」と身に沁みて分かった様子。

学校は「先生が教えてくれる」それが、ありがたいことなのだと感謝の気持ちを持つようになりました。

仲間と一緒に取り組めることにも喜びを感じている様子です。

長女は将来の選択をする時期です。

この苦難の経験を得た事で、将来のことを見据えて、新たな挑戦をしたりと行動が変わりました。

ハーフの娘は、将来は国籍をどちらかに決断しなければなりません。

その前に、自分は日本人の血が流れているということを知って欲しかったのです。

次女も、9-10歳は心も体も一気に成長する時期でした。

ママっ子で、まだまだ幼かった次女は、1年間で乳歯が3本抜けて、顔つきも体も成長し、身長が10センチぐらい伸びていました。

1年の旅行期間は、彼女には少し長すぎて、最後の方は「ニュージーランドに帰りたい」と言い始めました。

「可哀想なことをしたかな…」と心配することもありました。

車での長距離の移動中、外の景色を眺めながら何を思っていたのだろう…

しかし、ニュージーランドに戻った現在は、学校に行ける喜びから、シャイで無口だった性格が少し明るくなりました!

PC漬けだった日々からも、あっさりと抜け出しました。

学校では先生にも、次女が成長したと驚かれました。

以前は、声を出さずに首を振るだけで精一杯の反応だった娘でしたが、

「学校楽しい?」との問いかけにも「Yes!」と即答してくれました。

「娘たちの学校を辞めさせてまで、親のやりたいことを優先させて良いのか?」とたびたび、負のエネルギーに苛まされることもありましたが、

帰国してから現在まで、私たちの日常で起こる様々な出来事に、私たち夫婦は「あのタイミングで、行動してよかった」と何度となく思っています。

1年掛ける必要はなかったかもしれませんがね。(笑)

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