パーマカルチャーを始めて5年の我が家の庭
私たちが、この家に引っ越してきたとき、裏庭は枯れた大木や蔓、雑草に覆われていて、足元は沼のようにびちょびちょ。雑木林のような庭の向こうは民家も見えず、鬱蒼としていました。
まだ、パーマカルチャーに出会う前。
綺麗さっぱり木を切り倒して、除草剤を散布し、見違えるような裏庭になりました。

今でも、この庭に戻したいと言う夫
ベンチを置けば、まるで公園。綺麗になった我が家の庭。
しかし、公園といえば、付いてくるのがメンテナンス。
夫は雑草を根絶することに、躍起立っていました。
木を切ったので、日当たりが良くなります。そしたら、雑草が生えてきます。
我が家を支配する「芝」は、根っこが太く強力なアフリカ産のKikuyuという芝です。
ニュージーランドの気候では、生え過ぎてしまって、野菜も侵食してしまうほど。
1年放置しただけで、こんなふうになってしまいます。

1年の日本縦断を終えて帰ってきたらこれ。
水浸しだった地面もすっかり乾き、ここに住んでいたらしいカエルがピョコンと現れ、姿を消しました。
ニュージーランドでは、野生のカエルを見ることはあまりありません。
貴重なカエルの住む場所を私たちが壊してしまいました。
美しい庭の裏事情
化学肥料を使って、お花を咲かせていた頃の我が家の庭は、近所からも一目おかれる惚れ惚れするような庭でした。
実は、このビューティーを保つには、人間の美貌を保つことと同じく、相当のメンテナンスが必要です。
定期的な水やり、草むしり、適切な肥料に防虫スプレー…その労力に疲弊しても食べられるわけでもなく、鑑賞のみ…何のためにやってるんだろう…?
除草剤を撒けば、簡単に雑草は消えて無くなり、しばらくするとまた生えてきます。
その繰り返しです。
雑草が枯れるぐらいですから、吸い込めば体にも悪いことでしょう。
ミツバチや他の有益な虫たちも、そんな庭には来てくれません。
雑草が生えるとイライラが募り、どんどん強力な除草剤を撒くようになったり、隣接の庭から飛んでくる種にイライラしたり、人とも争ったり、、、
自分の敷地とはいえ、それは人間が勝手に決めたルール。雑草は、人間よりも前から存在しているのにも関わらず、人間の身勝手な考えで根絶しようなんておかしなことだと思いませんか?
パーマカルチャーガーデンに移行する
5年前、コロナ禍を経て、私は自然と共に暮らすパーマカルチャーな暮らしに共感し、自然に対しての考え方を改めました。
除草剤をやめて雑草を生やし、根を殺さずに鎌で草刈り、、、草や花を残すことで、ミツバチなどの有益な虫や鳥たちを呼びます。鳥の糞は、土壌を改善してくれます。
パーマカルチャーガーデンは、果樹の周りにはコンパニオンプランツといって、ハーブや花や野菜など、とにかくなんでも植え込みます。
まるで、エデンの園のようですよね〜
このように多様な植物が混合して、お互いの能力を持って助け合いながら育つのがパーマカルチャーガーデンです。

我が家のパーマカルチャーガーデン
この辺り一帯は、海が近いからなのでしょうか、我が家の土壌は砂地で
強風が吹き荒れます。風に弱いトマトやきゅうりなど、育てるには工夫が必要です。
ガーデニング好きには、適していない土地です。
木も強風で倒れてしまいます。砂地の土壌では、根もしっかり張れないようです。
「どおりで、すべての木が傾いている…」我が家の木は、どれも左に傾いています。
失敗を繰り返し、木を植えるにも、土壌改善が必要だと気づきました。
隣人は我が家の雑草だらけの庭に怪訝な顔を向けてきますが、「食べられる森」を目指して、植林と果樹を植え続けました。
プリリの木を植える
我が家は、部屋に余裕があったので、「労働することで宿泊を無料にします」という広告を出し、草刈りをやってもらおうと言うことになりました。
パーマカルチャー式で労働をしてもらえば、パーマカルチャーの普及にもつながります。
とはいえ、広大な敷地で「働いてください」というほどの仕事があるわけでもなく、
「ワンガヌイを楽しんで〜」という気持ちで、部屋を提供することにしました。
その広告を見つけて、来てくれたのが、当時ワーキングホリデーでニュージーランドに訪れていた日本人の「Kちゃん」。
Kちゃんは、ご実家が農家。ニュージーランドでも木を育てる仕事に就いていたので、とても働き者。ワンガヌイを気に入ってくれて、当初の予定を延長して、私たちと3週間ほど過ごしました。
そんな働き者で、素敵なKちゃんとの思い出に、記念樹を植えたいと思いました。
Kちゃんが選んだ木は、ニュージーランドの原種の木「プリリ」でした。
プリリは、放っておけば20mにもなる巨木になります。とはいえ、剪定をしてあまり大きくならないように育てます。
プリリが付ける赤い実は、ニュージーランドの固定種の鳥のケレル(英語はウッドピジョン)の大好物です。

プリリの赤い実を食べるケルル 画像はネットの拾いもの
ケルルは絶滅危惧種に指定されていて、深い森を好む鳥です。
民家ではあまり見かけません。
姿は山バトと似ていますが、美しいエメラルド色をしていて、体長50センチ!
とても大きくて、バッサバッサと飛び回ります。
その姿は、ニュージーランドの森の王様のように圧巻です。
そんな森の王様ケレルが、我が家にも来てくれたらいいなぁと願いながら、Kちゃんにプリリを植えてもらいました。

プロフェッショナルなKちゃんの植樹
そして、5年が過ぎ、今年、、、ようやくプリリが実をつけました。

まだ赤くないけど
背はそんなに高くないので、ケレルが我が家のプリリを見つけてくれるまで、時間がかかるだろうなぁ。
と思っていたのですが、
先日、そら豆の植え付けのために適当な場所を探していると、
私の後ろで、バッサバッサと音がしました。
振り向くと、ななんと!ケレルの姿!
このケレルが食べているのは、プリリの実ではなく、Tagasaste(タガサステ)と呼ばれる木で、葉も枝も根も栄養素が高く、土に混ぜ込むと、土壌改善になるという、ニュージーランドパーマカルチャー界隈では有名な木です。
プリリを植えたら、ケレルが来るなんて、夢ではあったけど、
ほんとに来たーーーー
今までも、トゥイやファンテールなど、身近でもみられる鳥や、珍しいところではキングフィッシャー(水辺の青い鳥)が来ることはあったのですが、さすがにケレルは来ないかなぁと少し諦めの気持ちもありました。しかし、
ケレルにとって、我が家がパーマカルチャーな森だと認められたようで、とても嬉しい気持ちです。

カエルも戻ってきました!
やっぱり私は、パーマカルチャーを広めたい!遊暮働学がしたい!
庭にケレルが気軽に遊びに来られるような森を作りたいです!